いつになく多かった2月の降雪が記憶に残るまま、何となく3月に入った。今週の日曜、田人町貝泊に取材に行ったが「春は名のみの…」のごとく、辺りは朝からの雪のため一面の銀世界に▼そんな季節にあっても梅が咲き、確実に春の訪れを感じる。一足早い春といえば、佐糠町の常磐共同火力勿来発電所用地内に今年も「河津桜」が淡いピンクの花を付け始めた。原木は昭和30年、静岡県・河津町で発見された▼奇しくもこの年は、同発電所の操業開始と一致する。同地には、創立50年を控えた平成15年に年数と同じ50本が植樹された。人的な手が加わり、寿命をまっとうできない老桜の巨木に比べると幹、枝ともまだ細いこの桜が初々しく感じる▼7日には昨年に続き2回目の「河津桜まつり」が開かれる。静岡の同町では、毎年華やかな観光祭が催されているが、こちらは同発電所のスタッフが手作りの宴で市民をもてなす予定だ。少し早起きして訪れるのもいいだろう。
片隅抄