6月に予定している新成長戦略のとりまとめに向け実施した幸福度調査(国民生活選好度調査)。その結果が内閣府から発表された▼10点満点中の6・5点で、欧州連合(EU)28カ国が2008年に行った同様調査の平均6・9を下回るものだった。国民の意識は明らかになったが、気になるのは高齢者の点数が全般に低く、根強い老後に対する不安があることだ▼年齢による幸福度をグラフにすると、主な先進国では若年層と高齢者が高くなるU字型を描くことが一般的だそうだが、日本では2008年の選好度調査に続き高齢者の幸福度がほとんど上がらない特異な形となった▼福祉国家として名高いデンマークでは税金は高いものの、充実した生活保障サービスによる豊かな生活環境が保たれているという。老後への不安があれば若者にとっても展望は拓けない。老いても誰もが穏やかで自然体の暮らしが送れる日本へ、国のあり方から再考が必要なのかもしれない。