1年以上眠り続けたままの親族がいる。言葉は交わせずとも生あることを支えに、時折顔を見に行く。意識がなくても寝たきりでも、それでも「生きていてほしい」それが本音だ。これが親や子といった関係であればあるほどその思いは強いと思う▼また先日「今年も敬老の日を迎えられる」と楽しみにしていたお年寄りが、不慮の事故で亡くなったと聞いた。長生きした人こそ、安らかな死を迎えてほしいのに、痛ましくてやりきれない▼その中で平成10年以降、日本における自殺者は毎年3万人を下らない。これほどの不幸があるだろうか。9月10~16日は自殺予防週間、今こそすべての人に命の大切さを考えてほしい▼幼児は遊び、少年は学校へ、大人は働き、高齢者は休む、そんな当たり前の一生が人の幸せだとしみじみ思う。それを自ら断ち切るというのは、何があっても、生きたくても生きられなかった人に対して申し訳けない行為だと思えてならない。