東北各地に甚大な被害をおよぼした大地震から2週間がすぎた。亡くなられた方をはじめ、被災された皆さんに対し、かける言葉もみつからない。やや落ち着きを取り戻しつつある中で、当時の状況を降り返ってみる▼11日午前中、市立中学校の卒業式があり希望を胸に母校を巣立つ生徒たちを取材した。原稿送稿のため、一度支社に戻ったあと、再び外出。勿来町の国道289号交差点で信号待ちしている時に地震に遭遇した▼地の底から突き上げてくる大きな揺れ。体が激しく上下する前の車のドライバー。屋根葺き替え中の家屋から瓦が飛び散り、付近の工場から発せられる大きな爆発音。「これは、ただごとでない」と思うと同時に襲ってくる恐怖感▼だが自分は運の良い方であり、本当の恐怖は時を経ず海岸沿いの町をのみ込んだ津波だった。翌朝に見た小浜町、岩間町の災害現場。がれきの中にあったで掛け時計は、午後3時39分で止まっていた。
片隅抄