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片隅抄

2011.04.22

東日本大震災から1カ月以上がすぎた。被災された方には、あの忌まわしい記憶は生々しく容易に消えるものではないだろう。だが記録を残す仕事柄、人に会うたび地震当時の状況を聞いている▼先日、営業再開した喫茶バーに足を運んだ。マスターとその話題におよんだ時、あるリーフを見せられた。カラー4㌻の『よつくらソースカツ倶楽部』。大衆食堂、中華、和食など9店が自慢の同品を紹介していた▼津波被害を受けた四倉町。「3・11」の午後、マスターはこのうちの1軒で友人らと食事をしていたという。食べ終え、自分の店に戻ったところ震災に遭った。不幸にも訪れた店は流され、少し遅い時間であれば安否が問われていたかもしれない▼庶民的なソースカツで四倉町のPRを図る取り組みだったが、半数以上の加盟店が被災した。再開を期待するのは早計だが、食の楽しみは明日の活力につながる。サクッ、カリッとした食感が待ち遠しい。

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