早いもので今年も残り3週間ほどで新年を迎える。12月はクリスマスがあり、大みそ日がありと、何かと気ぜわしい中にも浮かれたムードが漂う▼ところで今月は日本国民にとって忘れてはならない日がある。70年前の12月8日、日本海軍はハワイ真珠湾に停泊中の米太平洋艦隊を攻撃、連合国に対し宣戦布告した開戦の日なのだ。4年に及ぶ血みどろの戦いの結果、日本の無条件降伏で敗戦を迎える。この大戦で日本人だけでも実に300万人もの尊い命が奪われた▼8月15日の終戦の日には、国を挙げて追悼行事が全国各地で行われるのに対し、開戦の日は何ごともなかったかのように過ぎてしまう。8日が近づくにつれ、毎年のことながら抄子の中で、果たしてそれでいいのかといった自問自答が繰り返される▼「悲劇を風化させたくない」の思いは多くの日本人が持っているはずだ。8月と並んで12月も記憶を掘り起こす月にしたい。それが反戦の誓いにつながる。
片隅抄