福島第一原発の事故によって双葉郡にあるふるさとに住めなくなり、いわき市や県内各地、さらには県外の仮設住宅や借り上げ住宅で避難生活を送っている人たちは今も将来が見えない悶々とした日々を送っている▼しかし震災から1年3カ月が過ぎて、避難者たちを見る目も変わってきた。県外のある避難所では、地元住民から「いつまでここにいる気?」と言われたと聞く。代表的なのは「仕事もしないでパチンコばかりして遊んでる」だろう▼このバッシングに避難している人たちは怒り心頭かと思って聞くと否定はしないのだ。「会津のパチンコ店に行ったら〝いわき〟ナンバーの車が並んでた」と言う人もいる▼働かなくても休業補償が出る、しかし働くとそれがもらえなくなるという制度がその背景にあるらしい。異郷の地で年配者が再雇用されるのが難しい現状も拍車をかけている。しかし働く意欲なくして再出発はない。雇用に明るい道はないものだろうか。
片隅抄