先日、所用で東京へ行った帰りに、深夜の駅前まで娘に車で迎えに来てもらった。高校卒業後の春休みに免許を取得し、車が届いたのはつい1週間前▼娘を車で送迎するのは父である抄子の役目だったが、助手席に乗ったのはもちろん、娘に車で迎えに来てもらったのもこの夜が初めてだった。3、4歳だったころ、おもちゃの車に乗ってはしゃいでいた娘が、真新しい車に乗って「お帰り」と助手席のドアを開いた▼このとき、ふだん見過ごしてきた娘の成長を唐突に気づかされた。この微妙なニュアンスを、わかってもらえるだろうか▼あすは「父の日」。「母の日」と違って印象が地味なのは、〝カーネーション〟のような決め手、シンボルがないせいだろう。読者諸氏の家庭では父の日にどんなことをするだろうか。子どもに「あっ、きょうは父の日だったんだね」と夜になってから言われて、ため息をつくお父さんたちも少なくないのでは。まぁ、頑張りましょう!
片隅抄