きょう15日は終戦記念日。日本の無条件降伏によって、第2次世界大戦が終わった日。満州事変から続く長い戦争が終わり、この日を境に日本は戦争のない平和な国へ歩みだした▼お盆が来ると十数年前に亡くなった妻の伯父を思い出す。伯父は中国で終戦を迎え、その後旧ソ連軍の手によってシベリアで抑留生活を送った。ある時、この伯父に戦争のことを聞いたことがあった。伯父はしばらく目をつぶり「戦争は嫌だ」と、ぽつりと言ったきり、二度と口を開こうとはしなかった▼中国でシベリアで伯父がどんなつらい目に遭ったのかは知る由もない。ただ、苦渋に満ちた顔で、のどから絞り出すように言ったその言葉が今でも忘れることができない▼もし自分がもう少し早く生まれていて、戦争に行っていたら、異国の地で命を落としていたかもしれない。若くして突然、残りの人生を奪われた人たちを思うと、戦争を起こしてはならないとの思いを強くする。
片隅抄