あすから12月。早いもので、今年もあと1カ月を残すのみである。あわただしさの中にも師走情緒を感じたいところだが、そうもいかない状況になってきた▼野党から「近いうち…」の履行を迫られ続けてきた野田総理が顔色を変えて言い放った衆院解散。3年前、打倒自公を旗印に熱狂的ブームの中、政権交代を果たした民主党だったが空虚なマニフェスト、不手際外交、党内分裂騒動などで失点を重ねてきた▼師走の総選挙は昭和58年以来、約30年ぶり。当時最大の争点はロッキード事件で1審有罪判決を受けた田中角栄元総理に対するもので、ひいては自民党への審判であった。結果、自民党は過半数を割るが田中氏本人は22万超の大量得票数で復権した▼今回はどうか。TPP、増税、「反脱卒」を頭に付けた原発の在りようなど、実にさまざま。加えて西からの新勢力に乗じ、離合集散する各政党。新風もよいが、被災地は早期の震災復興を望んでいる。
片隅抄