昨年の今ごろを振り返ると、いわき市内9海水浴場のうち唯一の海開き会場になった勿来海水浴場をめぐる行政と民宿、海の家経営者のやりとりがピークに達していた▼震災後の安全対策を最優先に「海の家」は設置しない、とする市側。対して「生活がかかっている。安全面を考えるなら、海開きは必要ない」と訴えた業者側。設置を見送られた業者からは、損害賠償請求の声も上がるほど感情的にもつれた▼今夏も開設される勿来海水浴場。昨年は人出の面でさびしいシーズンだったが、ビーチバレー大会などさまざまなイベントが開かれ、雰囲気を盛り上げた。海開きを前に来月7日、同海水浴場で「いわき鳴き砂フェスティバルin勿来」が開かれる▼当日はいわきに根をおろす各団体が協力し、砂浜清掃やマップ作製、体験教室などが行われる。しかしながら勿来海岸に「鳴き砂」があったとは知らずにいた。その音色を実際に聞かなくてはなるまい。
片隅抄