新聞社には、ごくたまに相談ごとが寄せられる。それはだいたい心当たりのあるところに掛け合ってはみたものの、いい返事が返ってこないときで、最後の駆け込み寺的に心にたまったモヤモヤを吐露するケースが多い▼先日もそうだった。ある市営アパートに住む年配の女性が、「同じ棟に70歳の男の人が住んでいるんだが、この人が嫌がらせのように夜中や明け方にドンドンと部屋の中から騒音をたてる。ノイローゼになってアパートから出て行った人もいる」と電話をかけてきた▼市役所の担当課に相談しても、警察に話を持ち込んでもこれといった善後策をとってはくれないんだとその女性は言う。実際、市役所にも警察にもそれぞれ事情や言い分はあるのだろう▼だからといって新聞社にできることはないのだが、声なき声を出せないで、この女性のように日々を煩わしく生活している人は何人もいるのだろう。嫌がらせがエスカレートして問題にならねばと思う。
片隅抄