ふだんは気がつかないが、その立場になって初めて実感することがある▼1カ月ほど前、85歳になる老母が胸の苦しみを訴えた。それは断続的に続き、精神的なストレスも加わって日に日に衰える様子がうかがえた。もちろん、いくつかの市内の病院で診てもらったが、はっきりとした原因はわからなかった▼診断結果も見てもらうお医者さんによってまちまちで、老母の落ち込み様はさらに深まった。最終的に、肺の見えにくい部位にがんがあることがわかり、手術を行う方向で検査を行っているが、その診断は郡山市の病院でだった▼いわきに住んでいながら確たる診断を得られず、病弱な体を車に横たえて何度も郡山を往復しなければならない――これはよくあることなのだろうが、本人と家族の負担は大きい。清水市政が取り組む「医・職・住」への課題。新しい市立総合磐城共立病院には市民から信頼される拠点病院であってほしい。ハード面とソフト面の双方で。
片隅抄