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片隅抄

2014.03.17

明日から彼岸、墓参に出掛ける人も多いだろう。遺骨の納められたそこから故人が見守ってくれていると感じる人も少なくないと思う▼だが、そのように心穏やかに線香を手向けられる人ばかりでないことを知っている。震災から3年が過ぎたが、いまだ市内でさえ37人は行方不明のまま。家族はあの日以来、その姿を見てはいない。遺体も遺骨も手元に届かぬまま葬式を済ませ、墓を建てた人もいよう。そこに手を合わせるむなしさはいかばかりか▼あえて私事を語るなら、海難事故で父を失い42年がたつ。遺体も船体もあがらずじまい。長い間、父が死んだとは思えず「もしかすると帰ってくるかも」の思いに、やっと諦めがついたのは、つい10年ほど前だ▼かけがえのない人を失うというのはそういうことだ。もし今「4年目に入ったのだから何とか気持ちを切り替えなければ」と思っている人へ、「急ぐ必要などない。自分らしくゆっくり、家族を思い続けてください」。

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