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片隅抄

2014.03.03

小学生が和の作法を学ぶ教室で、「障子は本来、座って開け閉めするものなんだよ」という講師の説明に、子らは少し驚いた様子。しかし今、一般家屋では、障子の引き手の位置が高めにあり、座っての開閉はいささかしにくいのが実情とも。小学生が不思議そうな顔をしても無理はない▼これに限らず近年、生活目線が昔に比べ高くなってきていると思う。背景の1つには高齢化社会もあろう。足腰が弱い世代の人々のために、例えば和食屋などで座敷き席をいす席に、またトイレを和式から洋式へ切り替えることは少なくない。これらに関しては、利用しやすさを考えた配慮だと思っている▼が、人の物事に対する目線が一様に高くなるのは、あまり良いとはいえまい。目線が高ければ、遠くを見るには便利だが、逆に自らの足元は見にくくなる▼そういえば先の講師は「部屋に入るときには脱いだ履物を手でそろえること」と教えていた。脚下照顧の語をわが肝にも銘じよう。

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