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片隅抄

2014.09.19

あすは彼岸の入り。昔から暑さ寒さも春秋この時期を境目とする。最近、一歩屋外に出ると日差しは強いが乾いた空気を感じ野山、田んぼのあぜ道などではポツポツと炎のように赤く咲くヒガンバナが目に映る▼先日、ある寺院の催しを取材した。昭和の末、そして7年前と過去2回訪れた記憶を頼りに向かったが、思いのほか時間を要した。周辺には、案内看板が建っていたがいずれも他寺院のものばかり。どうにか山門の柱を見つけ名前を確認できた▼かつては隆盛を誇り、いたる所に広告看板を設置していたのも今は昔のこと。詳しい経緯は知らぬが兼務住職が仏事の際、その都度訪れるだけになっている。それでも檀家の人たちが協力し合い、心の拠り所としての菩提寺を守ってきた▼子どものころ、お寺でよく遊んだ。時に和尚さんから叱られたが、そのたたずまいに畏怖めいたものを感じた。故人を弔う場所には、厳粛な気持ちで臨まなくてはならない。

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