左党にとって二日酔いの苦しさは体験済みだろう。量、種類によって翌日の残り方が異なるが、とにかく頭痛、気持ち悪さ、倦怠感などさまざまで酒瓶を見るのも嫌になる▼NHK朝の連続ドラマ「マッサン」が始まった。「あまロス」以来、続作はほとんど見ていないが、国産ウイスキーの開発者と外国人妻の物語には興味がそそられる。ずいぶん前だが、そのモデル竹鶴政孝伝『ヒゲのウヰスキー誕生す』(新潮文庫)を読んだ▼まがい物を拒絶し、本物の味を追求した明治男の気風が感じられたが、竹鶴に製造依頼したのは、当時の寿屋(現サントリー)創業者鳥井信治郎。こちらも品質にこだわる頑固者であった。技術の点では一致するも工場建設予定地が袂を分かつ要因になった▼ウイスキー製造に魂を込めた両人のおかげで、世界に通用する国産物が今こうして味わえるわけだ。酒は楽しく飲むものであり、事故・事件など不祥事にからませてはいけない。
片隅抄