サッカー日本代表の苦戦が続いている。素人目には、どうもゴール前のシュートチャンスで一瞬、躊躇する選手が多いような気がしてならない▼そのほんの1、2秒の間に相手守備にシュートコースを塞がれてしまうのだ。前が空いて決定的なのに「あなたがどうぞ」とパスしてしまった選手もかつてはいた。迷うことなく切り込んでシュートを放ち、おのれの存在感を主張する相手選手とは対照的だ▼日本人らしいといえば日本人らしい。集会の座席が埋まるのは後ろの方からで、前列はたいてい空いている。この人ならば…と太鼓判を押してお願いすると「いやいや、私よりもっと適任者がいるでしょう」と断られる▼周りの目を気にして決断と実行が遅れる、いたずらに争いごとを起こしたくないから目立つことを潔しとしない――。外交の舞台でも、そんな旧来の日本人気質が見え隠れする。次代を担う若者が10年、30年先にどんな日本人像をつくり上げるだろうか。
片隅抄