いわき市立総合体育館に深紅のブレザーが飾られている。本市出身の出場選手が寄贈したという。その色は褪せることなく、大会の雰囲気を今に伝えている。もはや伝説となった昭和39年の東京オリンピック▼太平洋戦争で灰塵に帰した日本が復興の証しを世界に堂々とアピールしたアジア初の祭典。当時2歳とあってはその空気を知るよしもない。テレビで断片的に見たことはあるが、大会を総合したものは市川昆監督の映画「東京オリンピック」に尽きる▼もっとも時の実力者、河野一郎オリンピック担当大臣が内容に不満をあらわにしたという。全編見たが多数のカメラを駆使し、選手の息遣いまで捉えた秀逸な作品である。それにしても最近のドタバタぶりには閉口する▼新国立競技場の建設問題、盗用疑惑が高まるエンブレムと一体どうしたことか。招致に熱を上げた大イベントにケチがつき始めている。剛腕河野さんがいたら怒髪天を衝いていたろう。