小学生のころ、祖父のたばこを引っこ抜いて口から紫煙をふかし、蒸気機関車ごっこをしたことはあったが、きょうまで吸煙したことは1本もない▼わが家は祖父母も父も兄も大変なヘビースモーカーで、特に父は風呂の中までたばこを持ち込んでいた。そのせいで肺気腫になり、85歳になる今、20年間にわたって鼻から酸素吸入が欠かせない生活をしている。受動喫煙の害を知ったのはずっとあとで、母も自分もあの環境でよく肺に異常をきたさなかったものだ▼「たばこは動くアクセサリー」という広告が懐かしい。昔の映画やドラマを見ると、たばこを吸うシーンがストーリーのいいスパイスになっていた。入社当時の報道部の部屋も、先輩記者たちが吐く紫煙でかすんでいたが、いかにもブン屋さんぽかった。でもね…▼31日から「喫煙週間」が始まる。子供が助手席にいる乗用車内で喫煙しながら運転している親をよく見かけるが、いったい何を考えているのやら。