毎年、学校の夏休みに合わせて、多くの書店で展開される文庫本フェア。店には、各出版社のお勧め本がずらりと並ぶ▼コーナーには、若い世代に読ませたい文庫をまとめて紹介する小冊子も合わせて置いてある。この類の冊子は、かなり前から出ているが、いつごろからか「見た目重視」の作りが強く出ていると感じている▼中高・大学生に、本を手に取ってほしいという思いは分かる。が、紹介されている本の内容よりも、必要以上のイラストカットやキャッチコピーばかりが目立っている気がするのだ。ジャンル分けを表すのに「シビレル」「ヤバイ」といったカタカナや「!」を多用した表記、さらに丸文字体が本当に必要なのか▼若者受けの要素を取り入れたカルイ冊子で引き付けて、本を読んでもらおう―それが狙いだと思う。一方で、本=文字を読もうとしている人へのアプローチが「見た目」ということに、複雑な思いがぬぐえないのは自分だけだろうか。