不惑に入ったころから、若い時分は「あんなの、年寄りの趣味だろ」と思っていた〝温泉〟にはまっている▼華やかな温泉街というより、山の奥深くひっそりと湧く〝秘湯〟といわれる場所に心ひかれ、県内では天栄村の二股温泉や南会津の木賊温泉、湯ノ花温泉、県境を越えて栃木県の湯西川温泉などに出かけた▼一番〝秘湯〟だと感じたのは、〝峠の力餅〟が有名なJR奥羽本線峠駅を目印に、芭蕉が『奥の細道』で山賊におびえながら越えたという福島・山形県境の山刀伐峠よりもさらに険しい山道を深く分け入った姥湯温泉だ▼一方、2泊3日6食で1万7千円という「プチ湯治プラン」のある温泉を見つけた。普通の湯治ならひと月はかけたいが、時間的・金銭的余裕がない向きには最適だ。仕事を終えた足で旅館に入り夕食。翌日は3食の提供を受けて1日中温泉で過ごす。最終日は朝・昼食まで居続けて、ゆっくり帰る。携帯を置いてきて一度体験してみたい。