行きつけのスーパーに「イナゴの佃煮」が並んでいる。売り物だけに見事な光沢を放っているが、農家育ちにとっては懐かしい自家製の食べ物である▼同様に、ウシガエルの肉も子どものころよく食べた。生きているときの姿を見れば、たいていの人は恐れをなして箸をつけないだろうが、どうしてどうして、脚のところは鶏のささ身に似た淡泊な食感である。親からは「イナゴはカルシウム源、ウシガエルはタンパク源だから」と食べさせられた▼栃木県大田原市の「なかがわ水遊園」で25日と4月15日、企画展『突撃!!となりの外来種』の一環として〝特定外来生物ウシガエル試食会〟が開かれる。小学生のとき以来40年以上も口にしていない懐かしい味を口にしたい。昨年は須賀川市のムシテックワールドでハチとアリの幼虫を食べた▼ゲテモノ食い、悪食とは言われたくない。「昔の人はこんなものを食べていた」と、先人たちの食の文化を体験するいい機会なのだ。