来年還暦を迎える愚息が、間もなく米寿を迎える父親にプレゼントをした▼小学2年生向けの算数の足し算・引き算のドリルと漢字書き取り問題集である。認知症気味の母親が入院しており、日中ひとりで留守を守っている父親が、たまにボーッとするようになって心配になったからである▼脳科学者ではないから、このドリル学習でどれだけ脳に刺激を与えるかわからないが、素人考えで頭がよくなる成分DHA、EPAを含むイワシやマグロも食べさせるようにしている。日中ひとりきりの茶の間で鉛筆を手に取り、いいペースで解答欄を埋めている。暇つぶしも兼ね、3年生、4年生とレベルアップさせるつもりだ▼両親とも若いころから子どものために働きづめで趣味というのを知らない。子どもが独り立ちし、高齢になって体が思うように動かなくなったとき、何をよすがに生きればいいのか。若いころとは違う、生きる支えとしての趣味の必要性を痛感している。