テレビドラマや映画などで重要視されるのは、その作品の内容や役者の演技力、演出。いかに見る人に感動を与えられるかにかかっている。ただ、あまり目立たないが重要な仕事がある。劇中の時代を忠実に表現するための材料を探す、「時代考証」だ▼設定が現代であればさほど関係ないが、その時代を忠実にドラマに反映させないと、薄っぺらいものになってしまう。その点、朝の連ドラ「ひよっこ」の時代考証は抜きん出ている。役者の髪形や服装はもちろんだが、食器や電柱に張られているポスターまでその時代を忠実に再現している▼今週の放送では、電報が届くシーンがあった。祝電、弔電しか見たことのない人たちには分からなかったかもしれないが、カタカナで書かれている文面や様式も当時のままだったことにスタッフの意気込みが感じられた▼ドラマの設定が昭和40年代だけに、その時代背景を懐かしむ人も多いことだろう。裏方の目線で見るのも一興だ。