まさに一進一退の試合展開だった。第99回全国高校野球選手権福島大会の決勝戦は、この言葉に尽きる。激戦を勝ち抜き常勝チーム聖光に挑んだ、いわき光洋のプレーに興奮の余韻冷めやらない▼甲子園まであと1勝。相手は予想通りの聖光学院。勝利は厳しいと予想。「戦う前から負けることを考える奴がいるか!」。試合前、敗戦後を質問したインタビュアーを張り飛ばしたある格闘家の激憤を思い出した▼試合はやってみなければわからない。先取点を挙げられるも同点に追いつき、さらに逆転も思わせる試合を繰り広げてくれた。結果は惜敗に終わったが選手の健闘、踏ん張りに拍手を送りたい▼さて試合会場の記者と電話確認した際、すさまじい応援の歓声が受話器から伝わってきた。この熱戦の結果をなんとか紙面で伝えたいと決勝戦の紙面構成を進めた。できることなら事前に用意した「いわき光洋、甲子園初出場」の見出しをプレゼントしたかった。
片隅抄