昭和53年11月、自民党総裁選「予備選」があった。当時の首相福田赳夫氏は現職の強みからか、党内各ライバルに対し、2位は次を辞退しようと発言した。ここにおごりが生じ、盟友田中角栄氏の支援を受けた大平正芳氏が勝利した▼前言を翻すことのできなくなった福田首相は「天の声にもたまには変な声もある」と淡々と述べ権力の座を降りた。昨今、生じる政治家の失言とは違い、重みがあった派閥領袖の名文句として語り継がれている▼4年に1度の市長選が始まった。「約束を守る政治」「情熱とぬくもりのまち」「継続は力」。立候補した新人、前職、現職の公約である。前回と同じ顔触れだが、三者の勝算は一体何であろう▼4年間の実績アピールか、あるいはその逆を訴えるか。いずれもその主張は市民に受け入られてこそ、1票につながる。正々堂々と政策、主張を訴え選挙戦を展開してもらいたいものだ。その結果、「天の声」が舞い降りるだろう。