山崎豊子さんの代表作のひとつに『白い巨塔』がある。昭和30年代後半を舞台にするが、大学病院内の権力闘争、医師のモラルなどを鋭くえぐり、今読んでも新鮮さを感じる▼フィクションとうたいながらも、実在のモデルがいたようだ。テレビ版では故田宮二郎さんの演技が忘れがたい。念願の医学部教授に上り詰めたものの、その慢心から患者の病状を正確に把握せず、最後は死なせてしまう▼途方に暮れる遺族が訴訟のため、法律事務所を訪れる。テレビでは中村玉緒さんが悲愴感漂う妻役を演じていたが、その帰り際ぶっきらぼうに相談料を請求される。無論、正当な取引であるから問題はない。ただ、もう少し温かみがあってもよかろうにと思ったものだ▼これから市内では、さまざまな無料相談会が開かれる。「お墓の管理・相続」「身近な困りごと」など専門知識、経験をもとにした有資格者が対応する。事前予約の場合もあるが、悩み解消の一助になるだろう。