東京・銀座にある区立の小学校が、この春入学する新1年生から、標準服としてイタリアの高級ブランド「アルマーニ」を導入するというニュースが話題になっている▼標準服があれば毎朝着ていく服に気を使わずに済むし、気分次第で好きな私服を着てもいいから便利だ。しかしこの小学校の場合は、ほぼ全員が着用しているというからもはや制服。そんな中で、よほど強い信念がなければ私服で通せまい▼一式最大8万円だという。保護者や区教委が困惑する中、当の校長は「銀座にある学校らしさが生まれる」象徴だとして導入を変えないようだ。〝銀座=高級感〟をアルマーニの標準服でイメージさせるとは校長の了見は狭すぎる▼小学生にアルマーニの標準服を着せて喜ぶのは、考え違いの校長と業者と一部の保護者ぐらいだろう。上辺ではない中身の資質が問われる時期の子どもに、こんな大人の無理強いが通るなら教育ではない。反対の声を消してはいけない。
片隅抄