各地で甲子園を目指す高校野球の地方大会が花盛りである。連日、球場へ出かけていって球児たちのプレーを追っている▼数少ない部活動経験の中でレギュラーとは縁遠かったわが身としては、背番号をつけ、グラウンドで颯爽とプレーする選手でない、登録からはずれた部員たちに目がいってしまう▼プレーでなくてもベンチ内でスコアをつけたり、ボールボーイとしてグラウンドにいれば、仲間の息遣いをそばで感じて一緒に戦う臨場感を味わえる。しかし、そこから離れた応援席から声を枯らして声援を送る部員たちのひたむきな姿には頭が下がる▼球場では当番校の部員たちが、試合開始2時間ほども前からグラウンド整備に当たっている。雨でグラウンドが水浸しになれば、スポンジで水を吸い、一輪車で何度も砂を運ぶ。部員の親たちもまた、試合のたびに応援席に駆けつけるのだ。勝利の保証なきチームへの献身――。だから、見ているこちらも気持ちが昂る。