池波正太郎さんの食味エッセーに「小鍋立て」がある。晩秋から春先にかけ、旬の旨いものを煮立て、一献傾ける。独りのわびしさもあるが、誰に気兼ねするわけでもなく、自分の世界が楽しめる▼そこで熱源だが、作家のこと、小さな炭をかんかんに焼き、鍋を温めたのだろうと想像する。カセットボンベなど使ったわけではあるまい。こちらは、手軽なそれに頼り気の向いた時に試したりするのだが、つい酔いが回り炬燵で寝入ることもままある▼先日、札幌市の繁華街で起きた爆発事故。時間の経過とともに原因らしきものが明らかになってきた。引火性が高い化学物質を含んだスプレー缶をむやみに散布したことが、思いもよらぬ大事故を引き起こした▼背景には業界の裏側が見え隠れもする。死者が出なかっただけでも幸いだった。簡易のガスボンベは重宝だが、捨てる時に穴を開けた方がよいのか迷う。本市では缶・びん類で収集するが、そこまで明らかでない。
片隅抄