ゴルフの全英女子オープンを制した渋野日向子選手の〝スマイル〟が話題となっている▼その一方で、柔道の世界選手権男子73㌔級で金メダルを獲得した大野将平選手が、優勝の瞬間も、表彰台でも無表情だったのが印象的だった。敗者に敬意をはらう柔道でさえ、国際化が進んだ現在は、日本人選手も派手なガッツポーズで喜びを爆発させている。それはそれでよい▼しかし大野選手は6戦オール一本勝ちという圧勝でも「内容に不満がある」とでも言いたげだった。来年の本番を前にいささかの心の隙を見せない。サムライ…という言葉が浮かぶ▼前回の東京五輪柔道。88㌔ながら全日本柔道選手権を2度制した猪熊功は無差別級でヘーシンクを倒すことに執念と自信を見せていたが、首脳陣は猪熊を無差別級でなく1階級下の重量級にエントリーした。だからこそオール一本勝ちで金メダルを手にしても笑顔はなかった。昭和のサムライ。そんな柔道家がいた時代だった。