昭和40年代を小学生として送った世代だ。そのころ川は格好の遊び場で、プールが無かったから夏は川で泳いだし、ウナギやコイ、フナなどを捕っていた▼ずいぶん昔になるが、夏井川の河口に近い草野地区で農業に従事する人たちが、農作物に恵みをもたらすふるさとの川を上流から見てやろう、と田村郡小野町から手製の筏に乗って新舞子の河口まで漕いできたことがあった▼市内には夏井川と鮫川に広い河川敷があって、それぞれサイクリングロードとターゲットバードゴルフ場、パークゴルフ場とラグビー場が整備されている。これから市民が川に近づく機会といえば白鳥の観察がある▼川の水害対策のハード面が堤防の強化であるならば、ソフト面は何よりも市民が川と寄り添うことだ。阿武隈の山々から垂れる最初の1滴から河口まで歩いてみる、上流・中流・下流域で交流する、大久川・夏井川・藤原川・鮫川に分けた地域色あふれる取り組み…というように。