妙なパフォーマンスで「おもてなし」とPR。熱狂といってもいいくらい、オリンピック東京招致を働きかけた人たち。そのさまをこちらは冷ややかに見ていた▼決定から数年たっても、今さら感が強い。もちろん、先の東京五輪は体感していないが、敗戦から20年たたずしての開催は、日本が総力を上げた国家プロジェクトだった。首都の街並みを一変させた開発に眉をひそめる向きもあったことも確かである▼前回大会を顧みると競技はもとより、先人が遺(の こ)した文化に目を見張る。一例では卓越したアートをはじめ、ピクトグラム、冷凍食材、記録映画など数多いが、商業ベースに乗った現在の運営法では一体何が生まれるだろうか▼厄介な新型コロナウイルスの感染拡大は、今のところ歯止めが効かない。WHOのパンデミック宣言で、暗雲が予想される東京大会。開催まで刻一刻と近づいているが有効な打開策もない状態。これで「おもてなし」ができるのか。