今年1月に水石山で母子4人が殺害された事件。3日に被告の初公判が行われ、事件に至る経緯や動機、犯行の状況が赤裸々となった▼当時は一報を耳にし「痛ましい事件が起きた」と眉をしかめながらも、抄子の管轄地域とは遠く離れていたことから、どこか他人ごとのようにぼうっと報道を眺めた。しかしそれもつかの間、5人の暮らしが分かってからは、昼夜を問わず駆け回った。どうして子どもを手にかけたのか、子を持つ親として憤りを感じながらの取材となった▼4日付で掲載した初公判の原稿。わずか13歳で命を落とした少女のメッセージを読み、思わず涙があふれ、作業する手が止まった。一方で被告たちへの怒りも膨らんだ▼背景には貧困、そして家族への深い愛があったのだろう。ただどんな理由であれ、未来ある子どもまで殺めていいわけがない。世の中には同様の悩みを抱える家庭もあるかもしれないが、事件を教訓にどうか思いとどまってほしい。
片隅抄