猫の手も借りたいというのに、もう師走。よく仕事先で「忙しいことは繁盛している証拠。感謝しないといけないね」と言葉をかけられるが、性根が腐っているために「貧乏暇なし」と、ついひねくれた答えを返してしまう▼振り返ると、何事も新型コロナに振り回された1年だった。コロナ禍の真っただ中で久しぶりの本社勤務が決まり、非常事態宣言を前に離任のあいさつすらできない。人や物の流れはほぼ止まり当日付の“ネタ”すら事欠き、締め切り間際に紙面は真っ白。焦りで脂汗が流れて目を白黒させた▼家庭ではひたすらステイホーム。畑仕事ははかどったが、娘たちの運動会は縮小され、最終学年を迎えた長女の修学旅行は県内に変更。道中は一言も発していけないと聞き、せつなさに胸が苦しくなった▼もうじき発表される今年の漢字は「禍(わざわい)」、それとも「密」か。まだひと月残っているが、来年は転じて「福」となれ、と願わざるを得ない。