東日本大震災に伴う東電福島第一原発事故で生じた処理水を巡り、政府は突如といっていい海洋放出の方針を決定した。その説明のため、13日に梶山弘志経済産業相らが本県入りした▼一連のスケジュールの中で、県漁連との面会が中央台の県水産会館で行われた。さっそく足を運んだが、その場は双方が淡々と意見を述べ合い、約15分程度で終わった。その間、こちらは梶山さんの顔をまじまじと見ながら、故父静六さんを思い浮かべた▼茨城県議会議長から国政に進出、田中角栄元首相の派閥に属す。その後、ロッキード事件で逮捕され出所した親分を出迎えた際にはある政党機関紙に写真を撮られ、落選の憂き目に遭うも着実に力をつけ、のちの創政会旗揚げに深くかかわった▼その静六さんを師と仰ぐ菅首相。海洋放出の方針決定は自らが述べた。科学的根拠は第一だが、元首相に始まる政治的系譜を考えると、もう少し惻隠の情があってもいいのではないか。