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片隅抄

2024.07.04

「この話をすると、30分はかかってしまう」。そう笑顔で切り出したのは、6月から常磐興産の会長に就いた西沢順一氏。コロナ禍による苦境の中、経営トップとして、スパリゾートハワイアンズの運営などにまい進した。新体制に合わせた会見で、記者から渋沢栄一の話題を向けられた▼常磐興産の前身・常磐炭礦の源流は、1884(明治17)年に設立された「磐城炭礦社」で、渋沢が発起人の一人に名を連ね、25年にわたり会長を務めた▼渋沢を誘ったのは、セメント王と呼ばれた浅野総一郎。渋沢栄一記念財団によると、明治初期に九州から石炭を調達していたが、西南戦争で輸送が途絶したため、東京近郊からの燃料調達の必要性から、いわき地方が選ばれた▼常磐興産には残念ながら、あまり資料が残ってないとされるが、西沢氏は渋沢の進取の気性に富むDNAが、いまの社にも受け継がれていると語る。さすがの渋沢も「東北のハワイ」には驚くだろう。

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