震災の翌々年から米作りに励んでいるが、今季はどうしても時間が取れず70代中心の大先輩に作業を任せっきり。土づくりと田〝敷き〟にしか参加できず、申し訳なさで心を痛めている▼先日取材した60代の男性は地元の高校を卒業後、農家を継ぐかどうか悩んだ末、土日や農繁期に休暇が取れるという理由で地方公務員を志した。退職後は農業に専念し、今は9町ほどの水田を夫婦で守っているが、生活は決して楽ではない▼高齢化や食文化の変化から米の消費量は年々減り続け、〝コメ余り〟は深刻さを増している。余剰米が増えれば価格は落ち、消費者は恩恵にあずかるが、生産者の収入は落ちる一方。作付面積を増やさないと経営が成り立たないのが現状だ▼抄子たちは互いに資金を持ち寄り学びと趣味を兼ねて続けているが、生活がかかる農家はそうはいかない。コロナ禍がさらなる大打撃を与える中、消費拡大をどう促すか、営農を支え実効性ある施策が急務だ。