サントリーホールディングスの新浪剛史社長の「45歳定年制」発言が、波紋を広げている。企業の新陳代謝と人材の流動化を進めるための主張とみられるが、70歳までの就業機会確保が努力義務となり、年金支給年齢の引き上げが検討される中での〝ねじれ〟発言はとうてい看過できない▼抄子が大学に入学した当日のオリエンテーション。進路指導の職員が、受験戦争を終えて希望に満ちたキャンパス生活を夢見る我々に「あなた方が3年生を迎えるときに、就職先はない」と、どん底に突き落とすような言葉を放り投げた▼ちょうどバブルは弾け就職氷河期に突入。多くの同級生が希望する職種に就けず、友人もしばらく浪人生活を余儀なくされた。〝失われた20年〟の代償は大きく、賃金も入社当初からさほど変わらない▼苦しみ続ける中、今度は「45歳定年制」発言。どこまで我々世代を愚ろうすればいいのか。所詮は〝使い捨て〟か。腹立たしいこと、極まりない。