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片隅抄

2022.07.02

子どものころはよく鯨の赤身を食べた。昭40年代のことだ▼行商の魚屋さんが血の滴る肉の塊を箱から取り出すのを今も覚えている。それに味噌をからめて焼いたのをよく食べた。鯨肉は今や希少品だから身近に手に入るのはベーコンか缶詰めで、たまにスーパーの鮮魚コーナーに刺し身が並ぶくらい▼捕鯨基地の宮城県石巻市鮎川や千葉県は外房の和田浦で鯨料理のフルコースを食べたことがあるが、さえずり(舌)や百尋(ひゃくひろ=小腸)、鹿の子(下あごの肉)、本皮、尾の身など余すことなく食用にした先人の知恵に感心する▼南氷洋のイメージが強い鯨だが、江戸時代に描かれた市の有形文化財「紙本着色磐城七浜捕鯨絵巻」から、昔はいわきの沖合でも捕鯨が行われ、浜で解体していたことがわかる。9日から市勿来関文学歴史館でこの絵巻を徹底解説する企画展が始まる。いわきの歴史や文化に鯨がどうかかわってきたか、会場での展示内容が楽しみだ。

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