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片隅抄

2022.12.13

元禄15年12月14日深夜――。四十七士は支度を整えるとしんしんと雪が降り続く中、吉良邸に向かい黙々と歩を進める。討ち入りから2時間、空が白み始めたころ、ついに主君の仇討ちを果たした▼赤穂事件。喧嘩両成敗の不文律を破り赤穂浅野家を断絶させる一方、吉良家に沙汰を下さないお上への不満から、義理人情に重きを置く日本人の美談として伝わるが、幕府に憚ってか浅野内匠頭を〝赤穂塩〟より塩冶判官と名付けるなど、登場人物を置き換えるなどして歌舞伎などで演じられた▼赤穂塩といえば、本市沖の海水で作られた食・工業用塩を思い出す。一時は国内生産量の2割ものシェアを誇ったが、製造元の日本海水は東電福島第一原発事故の影響から小名浜工場での生産を断念。赤穂、讃岐工場に立場を譲った▼新暦だと事件は1月に起きているが、忠臣蔵は師走の代名詞。話題が持ち上がると、年の瀬を感じつつも塩が取れなくなった当時の悔しさが頭をよぎる。

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