今年の干支は愛くるしく躍動するウサギ。いつ以来かと考えたら、あの忌まわしい東日本大震災が発生した平成23(2011)年だった。あれから12年過ぎようとしているが、影響は現在に続く▼市内の津波被害地区では区画整理が進み、海岸沿いには防潮堤が築かれるなど、住民生活と災害対策は並行している。一方、震災に伴う東電福島第一原発事故は、いまだ解決途上にある▼科学技術の粋を結集したエネルギー施設が自然災害の前にもろくも崩壊。廃炉段階で生じる処理水の海洋放出計画もコンセンサスが取れていない。この状態での実施は、本県水産業などに与える打撃はいかばかりか▼さらに今年は、関東大震災から100年。甚大な被害は今に伝えられ、次なる地震も予測されている。大規模災害に限らず、集落で起きる土砂崩れなどにも警戒が必要。山形県鶴岡市では2人が亡くなっている。さまざまな要因が重なり、発生を必然としてはならない。
片隅抄