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片隅抄

2023.06.27

1世紀以上にわたり愛されてきた、文学的財産価値の極めて高い小川郷駅の駅舎が解体の危機に瀕している▼JRは老朽化を理由に、2年ほど前から地区に保存か改築すべきか会話の機会を設けてきた。ただ抄子のようなひねくれ者には、磐越東線が直面する深刻な赤字を背景に、「今後の維持管理を考慮すると現状で保存は厳しい」という現実を住民に突き付け、納得させるための用意周到な〝政治的手法〟にしか映らなかった▼詩人草野心平を良く思わず、駅に文学的価値を見出さない地元の一部評価へと繋がる、アナボル論争や地域間の根深い(階級的)分断などを読み解く必要もあるが、いずれにせよ住民たちはさんざん悩み、納得いかないながらも「やむを得ず」という結論を導き出した▼結果、文学的価値を無視した無味無色に近い、画一的な無人駅舎が生まれようとしている。SNSでは驚きや怒りの声が相次ぐ。行政は黙ってこの事態を見過ごすのだろうか。

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