「現在の状況の根本原因は、日本政府が国際社会の強い疑念を無視して、一方的に核汚染水の海洋放出を開始し、それが世界の海洋に、予期せぬリスクをもたらしていると強調したい」。中国外務省の汪文斌報道官が330日、記者会見で日本のメディアに語った言葉だ▼東京電力福島第一原発で生じる処理水の海洋放出を巡っては、思わぬ余波が広がっている。中国による全面禁輸に続いて、全国各地で確認されている中国とみられる迷惑電話、さらに現地の日本人学校には石や卵が投げつけられている▼もはや国際問題として、岸田首相は毅然とした態度をとるべきだろう。県産ヒラメの刺し身を昼食においしく食べるのも良いが、「政府として責任を持って取り組む」と言った以上は、この状況を〝遺憾〟で終わらす訳にはいかない▼原発は日本だけの問題ではない。現場の声に耳を傾け、国際社会に対して呼びかけてほしい。〝聞く力〟はまだ死語ではないはずだ。