今から半世紀前、甘い幻想にかられ国内外で騒乱を引き起こした極左暴力集団が存在した。いや、現在も逃亡先の海外で息を潜めている。無益な紛争が続く中東情勢を考えるたび、あの時代を思い出す▼体制打倒をうたった当時の若者の主張は、年少だったこちらにはよく分からないが一般市民が流血の惨事に巻き込まれ、命を落とすという悲惨さには到底納得できない。まず昭和47年2月、管理人さんを人質に約9日間、警察と銃撃戦を行った浅間山荘事件▼同年、イスラエルで起きたテルアビブ空港での乱射事件。さらに2年後、東京・丸の内での三菱重工ビル爆破事件など、これら暴挙は枚挙にいとまがない。年月の移ろいに事件も風化しつつあったころ、一連の企業爆破に関わったとされる男が入院先で死亡した。偽名を使い、長らく社会に潜伏。捜査関係者に最期は本人本名で迎えたいと話したという。特に感慨もないが、海外逃亡者の末路はどうなるか。
片隅抄