先日、北茨城市にある茨城県天心記念五浦美術館の飛田和宏副館長が新年のあいさつを兼ねて企画展のPRや今年の抱負などを語った▼同美術館は勿来海岸の先、福島・茨城県境を越えたらすぐの風光明媚な五浦海岸の一角にある。近代日本美術のリーダーで、東京美術学校の校長を務め、日本美術院を創設し、横山大観ら名だたる画家たちを世に送り出した岡倉天心ゆかりの美術館として、主にすぐれた日本画を紹介している▼飛田さんは、新年度の企画展に期待してほしいと述べながら、県境にある立地を生かして福島県からの誘客に務めたいと力を込めた。潮風香る緑豊かな広大な敷地の美術館では定期的に映画会も開かれ、近くには旧天心邸や六角堂、温泉もある▼何より注目するのは3つある展示室の一角で一般の人でも作品を展示できること。4日までは錦町の引地恵美子さんが「手仕事展」を開いている。天心がにこやかに手招きしてくれているような美術館だ。
片隅抄