父親からグローブを買ってもらったのは小学3年生のとき。なぜ鮮明に覚えているかというと、左利きのわたしに父は右利き用のそれを買ってきたからだ▼左利きの割合は約10%なのだそうだ。姉兄はじめわが家の家族はもちろん、親類にも左利きの人がいた覚えがないから、父のうっかりは仕方ないだろう▼学校の備品にも左用があったかどうか。右用をハメてみるのだが指の開きが合わない。学校の配慮のなさを恨みながら泣く泣く素手で捕っていた▼メジャーリーガー大谷翔平選手からプレゼントされたグローブがいよいよいわき市の小学校にも届く。1校につき右用2つ、左用1つ。大谷選手はわが父親と違って、左利きの子どもにも配慮してくれた。新品のグローブの匂いは独特で、手にするとつい笑顔になってしまう。サッカーやバスケはアニメがきっかけで始めた選手が多い。この大谷モデルクローブがきっかけで野球の楽しさを知る子どもが増えることを願う。
片隅抄