初めて会ったのは5年前。そのりりしさは変わらない。いわき市生まれの競泳・松元克央選手は男子200m自由形の決勝を8位で終えた後、「最大のパフォーマンスはしたつもり。僕自身の後悔はない」と語った▼2019年世界選手権で銀メダルを獲得し、当時は翌年に控えていた東京五輪で、一躍メダル候補となった松元選手。練習場所にお邪魔した際、笑顔で取材に応じてくれた。名前にかけてニックネームは「カツオ」だが、「実はマグロのほうが好き」と、冗談めかしてくれたことも忘れられない▼昨年末、再びインタビューの機会に恵まれた。予選落ちだった東京五輪の悔しさをばねに、英国に赴いて、金メダリストの下で武者修行した話を教えてくれた。そして「いわき市の皆さんに勇気と感動を与えたい」とも▼尋常ではないプレッシャーをはねのけて、世界に挑む郷土ゆかりのアスリート。心から敬意を表するとともに、最後まで戦い抜いてほしい。