今年夏の甲子園代表49校のうち県立校は12校だが、長野以東に限って言えば19校中2校しかない。1校は準優勝の記憶も新しい秋田・金足農、もう1校が栃木・石橋だ▼栃木県南部の下野市にあり、今年創立100周年を迎えた県内有数の進学校だが、昨年春のセンバツに21世紀枠で初出場していたのは気づかなかった。しかし校名は昭和48年のころ、あの栃木・作新学院の怪物江川伝説の中で知った▼江川投手は高校時代、公式戦で2度完全試合をしているが、2度目は高校2年夏の県大会で、その相手が石橋だった。この大会、江川投手は初戦から3試合連続のノーヒット・ノーラン(うち完全試合1)を記録。準決勝も九回まで無安打(延長11回で敗戦)という信じられない内容だった▼今年夏の栃木大会準決勝、石橋は今春のセンバツに出場した作新学院と対戦。〝江川二世〟の異名をとる快速球エースを攻略したのだ。甲子園ではこんな普通の県立校を応援したくなる。
片隅抄